舞洲万博P&R駐車場の待機場における自動運転バス車両のコンクリート擁壁接触事故の原因と今後の対応について

[2025年6月11日]
 2025年4月28日(月曜日)に舞洲万博P&R駐車場の待機場で発生しました自動運転バス車両のコンクリート擁壁への接触事故につきまして、調査の結果と今後の対応についてお知らせします。
 本事故を受け、この間、舞洲万博P&Rでの自動運転を取りやめており、お客さまにはご不安とご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
 なお、舞洲万博P&Rにおける自動運転の再開時期につきましては、改めて、Osaka Metro 公式ホームページでお知らせします。

1 発生日時
2025年4月28日(月曜日)16時31分

2 発生場所
舞洲万博P&R駐車場の待機場内

3 事故の概要(現場状況、時系列はこちら
・舞洲万博P&R駐車場の待機場において、手動運転で回送中の舞洲P&Rシャトルバス(レベル4自動運転バス車両)が、待機場に停車した際に、パーキングブレーキが作動せず、停車場所が勾配エリアであったことから車両が転動し、気づいた運転士が回避操作を行ったものの間に合わず、コンクリート擁壁(高さ約50センチメートル)に接触
・回送中のためお客さまはなし
・運転士1名が乗車していたが負傷なし

4 原因及び調査内容
(1)原因
当社が、当該車両に搭載した自動運転システムは、車両のネットワークシステムからのエラー情報を検知した場合、車両に対し送受信をリセット処理(初期化)するようプログラムされていますが、このリセット処理データを送信する通信速度に設定誤りがあり、車両側ではリセット処理データを正しく受信できませんでした。自動運転システムは、車両側からのリセット処理完了の応答がないためリセット処理データの送信を繰り返され、大量のエラーデータが発生したため、車両内のネットワーク通信が阻害された結果、パーキングブレーキが作動するための車両情報が伝わらず、パーキングブレーキが作動しなかったものです。

⑵ 調査内容
本来、車両のパーキングブレーキが作動する条件として、以下が必要です。
・フットブレーキ操作があること
・車速が時速0キロになること

当該車両の運転士が車両のパーキングブレーキシステムをオンにし、待機場停車時にフットブレーキ操作を行ったにもかかわらず、パーキングブレーキが有効に作動しなかったことや、当該車両は事故が発生する前(夢洲から舞洲への運行中)に、自動運転システムが何らかの要因により発生した車両のネットワークシステムからのエラー情報を検知し、運転士が手動運転に切り替えて運行していたことから、この前後の当該車両及び自動運転システムのログデータやシステム設定を確認いたしました。
※自動運転システムのレベル2運行時は、車両のネットワークシステムに異常が発生した場合、自動運転から手動運転に切り替えるよう運転士に伝える機能が備わっています。

その結果、以下の内容が確認され、頭書の事故原因の特定に至りました。 
①運転士がフットブレーキ操作を行っているにもかかわらず、ログデータ上フットブレーキの操作ログが確認できない状態となっていたこと
②自動運転システム側がリセット処理データを送信する際に、車両側が認識できるデータ通信速度(250kbps)を超える通信速度(500kbps)で送信していたこと
③車両側ではリセット処理データを認識できず、自動運転システムがリセット処理データの送信を繰り返したことによるエラーデータがネットワーク通信を阻害し、パーキングブレーキが作動するための条件である「フットブレーキ操作」情報の通信を阻害した結果、運転士がフットブレーキ操作を行った情報が車両側に伝わらなかったこと

なお、ネットワーク通信が阻害された場合においても、アクセル・ブレーキ・ステアリングが問題なく操作できることを確認済です。

5 対策
自動運転システムのリセット処理データの通信速度設定を、500kbpsから250kbpsへ書き換えました。なお、リセット処理時以外の自動運転システムの通信速度は250kbpsであることを確認済です。
また、対策完了後のテスト走行において、強制的にリセット処理を発生させましたが、繰返しのリセット処理データの発信が発生しないこと、また、車両内のネットワーク通信が阻害されないことを確認しました。なお、他の同システム搭載車両についても同様の対策を講じました。
  
6 今後の対応
今後、舞洲万博P&R駐車場から夢洲第1交通ターミナル間の公道上にて、事故が発生した際と同等の走行環境における対策の効果検証のためのテスト走行を実施します。問題がないことが確認できた際には、関係機関へ報告した後、運行再開していきます。

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